なんで琴葉が好きなのか

 高村光太郎の『智恵子抄』みたいな感じで、田中琴葉への愛を語り続ける韻文『琴葉抄』を書くつもりだったのだが、最近琴葉に触れていない。なにせミリシタをやっていないのだから。あのゲーム、がっつりゲームする気分にならないと開く気にならぬ。そういう点ではグリーの手軽さはありがたかったのかもしれぬ。

 

精神分析みたいな話なので嫌いな人は読まないで。

 

 

 人はなぜ二次元のキャラクターに魅せられるのか。

 理由は人によって様々だと思う。ただ単純にかわいいから、性癖にストライク、声優が好き、理由が言語化できない諸々。私がエレナのことを好きなのはかわいくて声もタイプ、それに附随して声優も好きになってしまったから。そんなに難しい理由ではない。

 私が田中琴葉を好きなのはもう少し違った理由で……端的に言うと彼女を崇拝している。ひたすらに真面目で不器用で、悩みがちな田中琴葉偶像崇拝の対象としている。もちろん潜在意識下で、の話。意識的に崇拝していたらオタクじゃなくて別の何かです。やばい人。

 

 この真面目な人が損をする社会の中に生きている私たち。真面目なだけじゃ世の中は渡っていけない。まだ体験はしていないが、噂で聞くのは、講義に全部出て落単して落胆。小さな横断歩道で赤信号を待っていると背後から自転車に抜かされる。こんな信号待ってるなんて阿呆か?といいたげな背中が遠ざかっていく。真面目に生きるなんて馬鹿らしい……そんな毎日である。

 馬鹿らしさに負けて、自分も損をしないように生きていくのも一つの選択である。しかし、ルールを守るように厳しくしつけられた人には難しいことだ。規則を破るごとに良心の呵責に苛まれる。自分を厳しくしつけた両親を憎んでも無駄で、どうすればいいのやら。結局真面目に生きていく。要領が悪くて、真面目にやらないとついていけない、という人もある。どっちも当てはまる人もいる。

 真面目にやっているとやはり心が折れる。テキトーにこなしてやっていける人がいるのにどうして私は……そんな悩みを抱えてやっていく。テキトーにこなしているように見えて奴らは裏でちゃんと真面目にやっているのかもしれない。あることないこと考えて自己肯定感がどんどん下がる。

 

 そんなあなたは田中琴葉に出会う。逆に心配になるくらいの真面目で不器用。生きている間は悩み続ける、そんな彼女に出会って惹かれる。アイスが好きとか、趣味はお風呂とか、かわいい面もある。日常生活では不器用なところがかわいかったり、真面目故にはりきりすぎてしまう時もある。

 

 アイドルマスターは、というかスマホのソシャゲの世界は基本的に永遠に続くことを前提として話が進んでいく。お話が終わってしまう日≓サービス終了がいつなのか見えているゲームには誰も課金しないから。アイドルたちは成長するけれど、彼女たちがいわゆる「トップアイドル」になれる日は永遠に来ない(公式では)。本家みたいに長く続いて、姉妹作品が出ればレジェンドすなわちトップアイドルになれるけど、それでも十年くらい?(昔から追っている訳ではないので定かではない、ご了承願う)

 彼女たちをトップアイドルにしたいなら二次創作で小説でも書かないと駄目だ。漫画は現実的じゃないんじゃないだろうか……門司先生のアレを見れば分かるけど、五巻であれしか進まない。トップアイドルにさせたいなら前途多難を書きたい、しかしそれだと分量が増えすぎる。そういう意味で非現実的。

 まあそれはどうでもよくて、彼女たちは永遠にトップアイドルになれなくても成長はし続ける。グリーのミリオンライブでは顕著だったのではないかと思う(といっても私が真剣に全部の台詞を追ったのは琴葉だけだ)。

 成長をし続ける彼女たちを見る。琴葉も成長し続ける。あるときは悩みを打ち明け、あるときは上手く折り合いをつける。ここで彼女の芯である「真面目さ」はぶれない。「不器用ながらも」成長していく。

 ゲーム内では、成長すればすなわち成功する。上記のような方法で成功する琴葉を見て、真面目な人が損をする社会に生きる(と自分をみなしている)オタクたちは何を考え何を思うだろう?――「真面目でもいいんだ……」

 潜在的な崇拝とはこのことで、私の支えでもある。客観的に見た自分が真面目かどうかは実際にはさておいて、自分が比較的真面目だと思っている人間にとっては、成長し成功していく田中琴葉が心の支えとなるのだ。真面目でもいいじゃない。不器用でもいいじゃない。成功する琴葉の話を楽しみ、自己肯定感も高める。

 「オタクはキャラクターに自分を重ねがち」と非難(?)のように言う輩もいるが、重ねてナンボだと思っている。自分の支えになっているならよいではないか、よいではないか。

 自分を重ね合わせたキャラクターを褒めていくことは、跳ね返って自分を褒めていることにもつながる。悪いことなどなくて、傍からちょっと気持ちが悪いくらい。そんな気持ち悪さも隠すのは簡単だ。オモテでオタク芸をやらなければいいのだから。

 家に帰ってからこっそりと、琴葉かわいい、今日もがんばってるな、と言っていればいい。